終電

仕事が立て込んで終電で帰ることになった。

疲れた感じのサラリーマンが上を見上げる形で寝ている。同じ車両の人達は疲れているようでとても静かだ。どこか憂鬱な感じもする。

次の駅に着いた時、前に座っている青年がポケットの目薬を座席に落としたまま降りようとした。

私も疲れていたし、目薬なんてたいしたものでもないしと一瞬ためらったけど、重い腰を上げて落ちている目薬を拾って渡した。

青年は、すいませんと言ってにこやかに会釈した。

私は渡してよかったと思った。

疲れは一瞬で吹き飛んだ。

今日もいい日だ。

急に入った予定

ランチを食べるお店は決めていたのに、急に予定が入って予定が終わる頃にはランチは終わっていた…なんていうことはありませんか？

私は今日そうでした。早く予定を終わらせようとしたのに終わらなかったのです。

少し落ち込みました。もう口の中はそのお店の料理を欲していました。

でもよく考えるとラッキーなのかもしれないと思いなおしました。新しいことに挑戦するチャンスです。

今日は天気もいいし、少し遠くまで歩いて新しいお店に行ってみよう！

毎日に新しいパターンができればいいな、そう思うことにしました。

今日もいい日だ。

声

iPhone買い換えたんですか、新しいiPhoneいいですね！と昼ご飯を食べているとき店員さんに声を掛けられた。

私のなんて画面バキバキですよ、カバーも黄色だしと言われて、私のも買い換える前はそうだった、しかも耐えられないほどにと思えるとなんだかおかしくなってきて笑えた。

帰りには外人の女性が道を尋ねてきて、なんとか簡単な英語で伝えることができた。

道を尋ねられるのってなんだか久しぶりなのでびっくりしていたら、驚かせてごめん、と謝られた。こちらこそ驚いてすいません。

今日もいい日だ。

iPhoneを買い替え

画面全体がひび割れでキラキラしている私のiPhone6。見ようによっては涼しげで綺麗なのだけども。

我慢して使えるかどうか数日試してみたところ、やはり見づらすぎて諦めた。小さい文字だと画面を少し動かさないと読めないところがあったりして常に脳トレ、YouTubeの動画がどのシチュエーションでもきらびやかに見えてしまう。

そこで新しいiPhoneを買うことにした。

そんなに高いのは買えないので、一番お安いiPhoneSEにすることにした。

アップルストアまで行くのは久しぶりで少し緊張する。一歩中に入ると外国人が多くて、インターナショナルな雰囲気だ。なんだかここではアウェイな気もしてくる。

スタッフの方々も負けじと夏を先取りしたラフな格好でカッコいい。

私はすぐさまiPhoneSEを注文した。

レジ係の人はロン毛で無精髭、ショートパンツでポケットから鍵の束が覗いているワイルドな感じ。

少し眉根に皺を寄せてスタッフ同士で対応していたが、私の番になると破顔一笑めちゃくちゃにこやかにかつスピーディーに購入処理を済ませていった。

それビアンキ？と私のリュックを指して言った。

Bianchi、カバンも出してるんですね、いろいろやってるんだなぁ、それいいですねと早口で言った。

自転車が好きな人なんだな、と私は思った。アウトドアっていう感じそのままでなんだか安心した。

久しぶりにたわいない会話ができた気がする。

今日もいい日だ。

パズル

同僚が解けないパズルゲームが一瞬で解けた。何も考えていない。

普段は優柔不断でめちゃくちゃ迷いに迷って結局失敗するのだけど、考えない方が簡単に進むこともあるのかもしれない。

選択が二つあって迷いに迷っているときは損得の天秤がちょうど取れているときらしい。

けれども得するベクトルが違うから単純に比較できないので選択が難しいらしい。

さて今日の晩ご飯はカレーにするか、たっぷり肉野菜定食にするか、大いに迷っているところである。

失敗してもいいじゃないか、私は結局とんかつ定食にしたのだがおいしかった。

今日はいい日だ。

新年度

電車に乗っていた。

トレッキングの出で立ちのご高齢の方々がたくさん乗ってきた。車両内は一気に賑やかになった。

よくみると真新しいスーツを着た男性が数人いる。そういえば今日から新年度かと思った。母親らしき女性が隣にいて初々しさを感じる。

中国人の親子が隣の車両から数組やってきた。急に暖かくなったのに対応できていないのか原色のダウンジャンパーを着ていて暑そうだ。

隣のシートが1人分だけ空いていたので、少し座っている場所をずらした。

その時、Thank youと小声で言ったのが聞こえた。

結局あまりスペースは変わらなくて子供はお母さんの膝の上に座っていた。

今日もいい日だ。

桜

今日は天気もいいし散る前に一度は見に行かないと、と地元の大きな公園に桜を見に行った。

家族連れの人たちで賑わって楽しそうだった。思い思いに写真を撮っていて、私が写らないように避けながら公園の真ん中に進んでいく。

公園は大きな広場になっていて、大きな広場を桜が囲んでいる。真ん中の芝生には誰も人がいない。みんな桜に夢中でできるだけ桜の近くに居たいからだと思う。

真ん中までくると私はくるっと一回転してあたりを見回した。桜に囲まれている。

空はいつまでも青く澄んでいて、青と桜色と緑が重なり合って本当に素敵な場所だった。

帰りのバスで、外を眺めていると子供が手を振っていた。バスの運転手さんはそれに気づいて手を振り返していた。

今日はいい日だ。