終電
仕事が立て込んで終電で帰ることになった。
疲れた感じのサラリーマンが上を見上げる形で寝ている。同じ車両の人達は疲れているようでとても静かだ。どこか憂鬱な感じもする。
次の駅に着いた時、前に座っている青年がポケットの目薬を座席に落としたまま降りようとした。
私も疲れていたし、目薬なんてたいしたものでもないしと一瞬ためらったけど、重い腰を上げて落ちている目薬を拾って渡した。
青年は、すいませんと言ってにこやかに会釈した。
私は渡してよかったと思った。
疲れは一瞬で吹き飛んだ。
今日もいい日だ。